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2006年 01月 12日
レーザーラモンHG(ハードゲイ)というコメディアンが日本で大ブレークしていると聞きました。このキャラを演じているコメディアン本人はゲイではないそうですね。オカマキャラで売っている(けどゲイではない)藤井隆といい、大変興味深い現象だと思います。
昔から、日本人にとって「おすぎとピーコ」や、美川憲一など、オカマキャラはなじみ深いものだったと思うのですが、それはあくまでTVの中の話。もし近所や職場にゲイ(もしくは、それらしい人)がいたとしたら、どうでしょう。・・・その接し方といったら、先進国の中でも、日本人はかなり未熟な部類に入るのではないでしょうか。 ピーコのファッションチェックを観て笑っている人も、あえてピーコの私生活というか、セクシュアリティには踏み込まないようにしている気がします。その証拠として、週刊誌などでピーコの彼氏がスクープされたり、なんてことは(私の知る限り)一度もありませんでした。本人が隠しているというより、誰も知りたいと思わないからだと思います。 結局、生身のゲイは受け入れず、表面上の言動(外見が男性なのに口調が女性だから面白い、など)のみを興味本位で楽しむという傾向がまだまだ根強い、というのが現在の日本の状況だと思います。HGや藤井隆など、「本当はゲイではないゲイ」の芸人やタレントは、そこを上手く利用して成功しているといえます。観ているほうも、ゲイの面白可笑しい部分だけ楽しんで、(セクシュアリティを含めた)その人となりを背負い込む必要がないだけ、安心して見ていられるのだと思います。 (ちなみに、HGの芸人さんや藤井隆さんを非難するつもりは全くありません。要するに、ダウンタウンの松ちゃんの「おかん」や、志村けんの「バカ殿」と同じ、あくまで、「キャラクター」なわけですから。) それはともかくとして、日本では、美容師やヘアメーク、芸術家・・・といったごく一部の職業を除いて、ゲイが職場でカミングアウトするのは大変難しいと思います。家族の理解を得ることも、まず不可能といってよいケースがほとんどではないでしょうか?芸能人ですら、オカマキャラで売っていく覚悟が無い限り、なかなかゲイであるという事実を公表していないと思います。 イギリスはその点、(全く偏見がないとは言いませんが、)日本よりはかなり進んでいるという印象を受けます。(ブルーカラーの人たち、そして、敬虔なクリスチャンは例外ですが。) 実際、私も一人だけイギリス人でゲイの友人がいますが、彼は職場の人たちを招いて普通にホームパーティーなどやっています。これは日本ではなかなかありえないことだと思います。また、彼がたまたまラッキーだというのではなく、そういうゲイのカップルは多く存在します。 とはいえ、イギリスのゲイ達が何不自由なく幸せであったかというと、そうでもありません。ただ、昨年末のある出来事により、かなり改善されました。 イギリスでは、昨年の12月5日から「市民パートナーシップ法(Civil Partnership Act)」が施行されたのですが、これによって、ようやく同性カップルの「結婚」が可能になりました。すなわち、異性間夫婦とほぼ同等の法的権利を得ることができるようになったのです。それらを、ごく一部ですが紹介します。 ・相続税が免除 ・遺族年金の受給権 ・パートナーが遺言を残さず死去した場合、財産を相続する権利 ・パートナーが事故で死亡した場合に補償金を得る権利 ・病院に入院しているパートナーの面会権 ・病院でのパートナーの治療に関する親族としての決定権 ・移民関係の手続き上の配偶者としての権利 ・パートナーの雇用先からの配偶者手当 ・生命保険の加入における配偶者としての権利 考えても見てください。この法律が成立するまでは、たまたま同性の相手しか愛せない心と体に生まれついてしまったばかりに、何十年も連れ添った末にパートナーに死に別れたとき、死に際にも会えず、家や貯金をパートナーの家族に持っていかれ、もし財産を相続できたとしても、その価値が(家などの不動産も含めて)日本円で約5500万円以上あった場合に40%の相続税が課せられていたというのですから(それをきっかけに泣く泣く家を手放す人もいるといいます)、大変理不尽なことです。(ちなみに、異性間カップルの場合、夫婦間の相続税は免除されています。たとえどちらか一方のみが働いていたとしても、二人で築いた財産とみなされるのでしょうね。) これをご覧になった皆さん、どうでしょう。結婚している方も多いと思いますが、結婚することによって自分達にどのような義務と権利が発生したのか、あまり考えたことのない方も多いのではないでしょうか。(両親や周囲の人たち公認で好きな人と一緒に暮らせるから・・・なんて理由で結婚する人も多いのでは?)実際、離婚してしまった私の友人も、離婚することになって初めて「結婚」の本当の(=法律上の)意味を知った、と言っていました。結婚しようと思えばできる立場にある人は、せっかくですから、それに伴って与えられる権利を知っておいても良いのじゃないかと思います。 典型的な24歳の独身女性が思い描く「結婚」というと、結婚式、ウェディングドレス、新婚旅行、新居でずっと一緒の生活・・・などなどだと思いますが、これらはどれも、市民パートナーシップ法ができる前だって、ゲイのカップルはお金さえ払ってやろうと思えば出来たことです。 新法成立以降、盛大に式を挙げるゲイのカップルも多いと聞きますが、彼らは結婚式をしたかったから式を挙げているのではなく、異性間夫婦に当然認められている法律上の権利を享受(=結婚)できるようになったことを純粋に祝っているのだと思います。 そう思うと、結婚の本当の意味もよく分からずに結婚し、式を挙げて祝うというのは、本末転倒ということになりますよね。昨今のゲイカップルの結婚は、そんな当たり前のことを、私たちに気づかせてくれます。 ただ、日本より認識がかなり進んでいるとはいえ、イギリスも実は約40年前までは、なんと同性愛は違法だったのです!(1967年にイングランドとウェールズで21歳以上の男性間のセックスが合法化されました。) また、サッチャー保守党政権時代には、地方自治体による同性愛の促進を禁じ、公立学校で同性愛について教えることを禁じる条例もありました。反対のデモ行進などの結果、上院の反対に遭いつつも、2003年11月にようやく撤廃されました。 そう思うと、今回の市民パートナーシップ法がいかに画期的なものであったか・・・ということですネ。 この新しい法律によって、同性愛者を対象としたウェディングなど、新たな業種が生まれています。特に、男性の厳しさと女性の細やかさ両方を持ち合わせることの多いゲイの男性は、社会的にも成功している人が多く、しかも男女のカップルと違って妻の出産、離職といったこともありませんし、男女間の賃金格差の犠牲になることもありません。よって、(男性の)ゲイのカップルは一般にお金を持っていると言われており、それはpink moneyと呼ばれています。最近では、飲食、旅行、エンターテイメント業界など、pink moneyをいかに呼び込むかがビジネス成功の鍵などといわれています。 私にとって究極のゲイの結婚式ソング Queenの"Don't Stop Me Now"を聴きながら・・・ 日本でも一日も早く名実ともにゲイが社会的、法的に認められる日が来ることを祈っています。
by babelbabe
| 2006-01-12 09:09
| 社会・時事
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