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2005年 12月 01日
昨日は、あるTV関係のインタビューの仕事で、王立国際問題研究所(Royal Institute for International Affairs, 通称Chatham House)に行ってきました。
Chatham House(チャタム・ハウス)は、主要な国際・時事問題について分析し、理解を深めることを目的に設立された非営利・非政府団体です。 皆さんは、"Chatham House Rule"というのをご存知でしょうか? これは、日本語でいう、いわゆる「オフレコ」とよく似た意味で、(但し、「オフレコ」の定義については解釈が分かれるので、詳しくは後述します。)「より良い国際関係を構築するために、率直な議論をしましょう。そのかわり、この部屋の中で交わされた発言や意見については、その出所を公表しないようにしましょう」というもの。名前の通り、このチャタム・ハウスが発祥の地ではありますが、今日は、自由な議論を促進するために、世界中のさまざまな会議で採用されています。 私が通訳を務めた会議でも、このチャタム・ハウス・ルールが適用されたことが何度かありました。初めて聞いたときには、何のことだか分かりませんでしたが、とりあえずそのまま「ここからは『チャタム・ハウス・ルール』で行きましょう」と訳しました。そうしたら、日本人のクライアントが「チャタム・ハウス・ルールって何ですか?」と聞いてくれたので、そのときの説明でこの言葉の意味を知りました。 チャタム・ハウスに入るとすぐの受付のところに、チャタム・ハウス・ルールの定義が次のように記されたボードがあります。 "When a meeting, or part thereof, is held under the Chatham House Rule, participants are free to use the information received, but neither the identity nor the affiliation of the speaker(s), nor that of any other participant, may be revealed". 「会議の全体、あるいはその一部がチャタム・ハウス・ルールで行われる場合には、参加者はそこで得た情報を自由に使用してもよいが、発言者およびそれ以外の参加者の身元や所属団体は一切明かしてはならない。」 これとよく似たものに、"off the record"があります。日本でいう「オフレコ」というやつですが、日英ともに、その定義は統一されていません。人によって見解が違うという状況で、それが混乱を生んでいます。 ジャーナリズムの世界では、情報源の秘匿性に応じて、以下の分類がなされています。 on the record:情報はその出所とともに引用可能 not for attribution:匿名であれば情報は使用しても構わない(*Chatham House Ruleと同じですね。) off the record:"not for attribution"の意味で使われる場合と、情報も出所も公表してはならないという意味で使われる場合、人によって見解が異なる。 background: 情報もその出所も公表してはならず、情報源は保護されなければならない。 deep background: 情報は、取材者がその問題に対して見識を深めるため以外の目的に使用してはならない。よって、記事にしたり引用したりすることは不可能である。情報提供者がその情報について語ったという事実さえ、その取材者が所属する報道機関の編集長や弁護士以外に明かしてはならない。 ジャーナリストの通訳をすると、よく「オフレコで」という言葉が出てきます。これは私の感覚的な印象ですが、情報を明かす方は「取材者がその問題に対して理解を深めるためのいわゆる参考情報」ということで、それこそ"deep background"の情報として話をする一方、取材するほうは"not for attribution"のつもりで聞いているような気がしてなりません。お互い都合の良いように解釈しているような・・・?! だから、よく政治家の発言など、まったく「ここだけの話」のはずだったのに、翌朝の新聞に「ある政府筋によると」などといって出てしまったりするわけですね・・・。ま、言うほうもそこまで計算ずくで情報を明かしているのかもしれませんが。 ウィキペディアにある「オフレコ」の説明によると、「日本では政府首脳の発言とは内閣官房長官のオフレコ発言のこととされる」んだそうです。これは「『官房長官の談話』とすると政府の公式見解となるので、それを避けるための便法」だとか。へ~ぇ・・知りませんでした。 それにしても、今後は通訳現場で「オフレコで」とか、「ここだけの話ですが」と言われたら、ちゃんとその趣旨を確認して、必要に応じて上の分類を使い分けないと危ないなぁ・・・と思ってしまいました。
by babelbabe
| 2005-12-01 06:48
| 通訳・英語
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